こんにちは、コーチ・コンサルタント・カウンセラーの
MOMO(モモ)高橋澄子です。
コミュニケーションの基本はまず相手の話を「きく」ことから始まると言われます。
しかし「きく」には3種類あり、きき方を間違えると人間関係にマイナスになることもあります。
そこで今日は、3つの「きく」の違いと適した使い方を考えます。
※「きく」とひらがなで表記するときには、3種類のきき方を含んでいます。
訊く(ask)
きき手が知りたいことを、きき手の必要や関心に応じて、きき出し問いただすきき方
例えば、
- 警察官が被疑者を尋問する(訊問)
- 病院で問診される
ときの「訊き方」です。
いずれも、きき手の必要な情報を手に入れるために、話し手の枠組みや気持ちに関わらず、一方的に質問して情報を得る自分本位のきき方です。
このきき方は、問題解決や業務遂行場面での事実確認、条件把握に効率的かつ効果的なきき方です。
しかしその反面、
- 話し手は、自分の気持ちに関わらず答えなければならない(警察の職務質問を歓迎する方は少ないでしょう)
- 一本調子で質問を重ねる詰問調になりやすいので、話し手は責められているような心理的な圧迫感を感じることも多い
というマイナス面があります。
このため話し手の気持ちを理解する必要がある場合や、相手との関係を深めたい場合には適しません。
相手との関係を深めようとして「訊く」と、話し手はきき手を「自分を責めて居心地を悪くさせる相手」と認識し、次からはきき手を避けたり距離を取ろうとするかもしれません。
聞く(hear)
耳に入ってくる声や音を聞く、聞こえること。話し手の言葉を、きき手は自分の都合に応じて聞く、場合によっては聞き流すきき方。
この「聞く」は、
- 耳では話を聞きながら、別のことを考えている
- 聞き取れていないけれど、自然に聞いているフリをする
ことが含まれているきき方です。
冷静に考えてみると、話している相手には失礼ですが、数多くのコミュニケーションを行う中で、普通に行われているきき方です。
大切な点だけ理解しておけば良い話だったり、特に深い関わり合いを持たなくても良い相手には、こうして表面的に「聞く」ことで、お互いに負担にならないつき合いをしているのだと思います。
しかし、このきき方は
- 話し手の持っている枠組みや立場を踏まえない
(自分の枠組みや都合が中心)
- 話に集中していない
ため、話し手が本当に言いたいことを十分に理解できなかったり、大切な内容を聞き漏らしたりする可能性の高い自分の本位のきき方です。
このため、話し手の意図やきき手に対する期待によっては、「あの人だったらわかってくれると思ったのに」「全然きいてくれない」と失望を感じたり、不満が残る場合もあります。
やはり「聞く」も、話し手の気持ちを理解する必要がある場合や、相手との関係を深めたい場合に適しているとはいえません。
聴く(listen)
「相手の感じていること、言わんとしていること」を「相手の枠組みに沿い、相手の立場に立って理解しよう」と「耳を傾け、注意してきく」きき方。
例えば、
- 自分の発言を抑えて、話し手が全て話したと思えるまで話してもらう
- 相手の枠組みや立場できこうとする
- 語られている内容はもちろん、裏側に隠されている話し手の感情や、本当に言いたい事(真意)を理解しようとする
- 話に集中して真剣にきく
きき方です。
このきき方は、相手本位のきき方であることが、前の2つと大きく違っています。
話し手は、自分の話を本当に聴いてもらえたと感じたとき(特に、話の中の感情まで受け取ってもらえたと感じるとき)
- 話したことに満足を感じる
- 心がすっきりして開放された気分になる(浄化作用)
- きき手に自分の存在を受け入れられたと感じ、相手に安心と信頼を感じる
- きき手に感謝する気持ちがわく
のです。そして、お互いの絆は強まり関係が深まるのです。
コミュニケーションを通じて人を支援する専門家(ex.コーチングのコーチ、キャリアの相談にのるキャリアカウンセラー、心の問題を扱う心理カウンセラーやセラピスト)は、「聴く」ことを最も基本的な技術とし信頼関係をつくります。
3種類のきき方はどれが良いと言うよりも、「きく」目的や場面に応じて使い分けていただくものだと思います。
ただ、相手との関係を深めたい、どうも信頼関係がつくれないと感じたときには「聴く」ことに力を入れてみてください。
コミュニケーションや人間関係に驚くほど効果がありますよ。
参考文献:星野欣生著「職場の人間関係トレーニング」金子書房
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